2026.04.30
京都の民泊・簡易宿所は転換期へ。松井市長・市会各会派の動きから見る規制強化の行方
1. はじめに:京都で民泊・簡易宿所が再び大きな論点に
2. そもそも「民泊」と「簡易宿所」は何が違うのか
ここで一度、「民泊」と「簡易宿所」の違いを整理しておきましょう。
ニュースや日常会話では、どちらもまとめて「民泊」と呼ばれることがあります。しかし、法律上は同じものではありません。
では、何が違うのでしょうか。
大きな違いは、根拠となる法律、手続きの方法、そして営業できる日数です。
まず、一般的に「民泊」と呼ばれるものの多くは、住宅宿泊事業法に基づく住宅宿泊事業です。これは、都道府県などへの届出によって始めることができます。ただし、営業できる日数は年間180日までと決められています。
つまり、住宅を使って宿泊事業をしやすい制度ではありますが、1年中ずっと営業できるわけではない、ということです。
一方、簡易宿所は、旅館業法に基づく宿泊施設の一つです。ゲストハウスや簡易宿泊施設などがこれにあたります。こちらは届出ではなく、行政からの許可が必要です。
また、住宅宿泊事業のような年間180日の営業日数制限は、原則としてありません。
参照
京都市 旅館業法に基づく宿泊施設の開設を計画されている関係者の皆様へ
こうして見ると、民泊と簡易宿所は、似ているようで制度がかなり違うことが分かります。
ただし、ここで大事なポイントがあります。
地域で暮らす人から見ると、その違いは必ずしも分かりやすいものではありません。
住宅地の中に宿泊施設ができて、旅行者が出入りする。夜にスーツケースを引く音がする。事業者に関わらず、一般ゴミで出しており、なおかつルールが守られていない。こうした場面だけを見ると、それが住宅宿泊事業なのか、簡易宿所なのかは、住民にとってあまり関係がない場合もあります。
つまり、法律上の区分は違っていても、住環境への影響という意味では、同じ問題として受け止められやすいのです。
そのため、京都市の民泊・簡易宿所をめぐる議論では、制度上の違いを整理しながらも、騒音、夜間の出入り、地域コミュニティへの影響といった点について、一体的に語られることがあります。
これから京都で民泊や簡易宿所を考える場合、単に「どの制度を使えば始められるか」だけを見ていては不十分です。
大切なのは、その地域で長く受け入れられる運営ができるのか、という視点です。
3. なぜ今、京都で規制強化が議論されているのか
では、なぜ今、京都で民泊や簡易宿所の規制強化が議論されているのでしょうか。
一つの大きな理由は、コロナ禍のあとに観光客が戻ってきたことです。京都を訪れる人が増えれば、当然、泊まる場所への需要も高まります。その受け皿として、ホテルや旅館だけでなく、民泊や簡易宿所にも注目が集まるようになります。
ここまでは、観光都市である京都にとって、前向きな話に聞こえるかもしれません。
しかし、観光客が増えることには、別の側面もあります。
それが、オーバーツーリズムの問題です。
オーバーツーリズムとは、観光客が特定の地域に集中することで、地域住民の暮らし、交通、景観、環境などに大きな負担がかかる状態を指します。
京都でも、観光客の回復により、観光地周辺の混雑だけでなく、住宅地にまで観光の影響が広がりやすくなっています。たとえば、バスの混雑や遅延は、市民にとって日常的に感じやすい問題です。また、観光客が利用する自転車についても、地域によっては危険を感じる場面があります。
観光客にとっては一時的な移動でも、そこに暮らす人にとっては毎日の生活です。ここに、観光都市・京都ならではの難しさがあります。
さらに、もう一つ見落としてはいけない視点があります。
それが、京都市の人口減少です。
京都では、外から訪れる観光客は増えている一方で、実際にその地域で暮らす人は減っていくという、少し複雑な状況が起きています。
もちろん、人口減少の原因をオーバーツーリズムだけに求めることはできません。京都市の人口減少には、若年層の市外流出、子育て世代の転出、住宅価格、働く場所、子育て環境など、さまざまな要因が関係しています。
ただし、オーバーツーリズムがまったく関係ないわけでもありません。
観光客の増加によって、交通混雑や騒音、ゴミ管理の問題、生活道路への人の流入などが増えると、地域で暮らす人にとっては「住みにくさ」につながります。また、観光需要が高まることで、住宅や町家が宿泊施設として活用されるケースが増えれば、地域によっては住むための住宅が減ったり、不動産価格や家賃に影響したりする可能性もあります。
つまり、オーバーツーリズムは人口減少の唯一の原因ではありません。
しかし、京都で暮らす人の住環境や住宅事情に影響を与え、結果として人口流出を後押しする要因の一つになり得るのです。
ここで、空き家の問題も関係してきます。
ただし、京都市内の空き家問題は、単に「人口が減ったから家が余っている」という話だけではありません。むしろ現場では、相続や所有関係の問題が大きく関わっています。
たとえば、親から相続した家をどう活用するか決められない。相続人が複数いて、売却や賃貸の合意が進まない。所有者が京都市外に住んでいて、日常的な管理が難しい。こうした理由で、住宅が使われないまま残ってしまうケースがあります。
特に京都では、古い町家や長屋、路地奥の住宅なども多くあります。建物の老朽化、改修費用、接道条件、近隣との関係などが課題になり、売るにも貸すにも簡単には進まないことがあります。
つまり、京都の空き家問題は、単に「住む人が減ったから空いた」という話ではありません。相続、所有関係、改修費用、建物の老朽化、地域との関係など、複数の事情が重なっているのです。
一方で、不動産オーナーにとって、使われていない住宅をどう活用するかは大きな課題です。賃貸住宅として貸すのか、売却するのか、リフォームして住まいとして再生するのか、あるいは民泊や簡易宿所として活用するのか。選択肢は複数あります。
ここだけを見ると、
「空き家を活用できるなら良いことではないか」
と思うかもしれません。
もちろん、空き家の活用は大切です。使われていない住宅を放置すれば、老朽化、防災、防犯、景観の面でも地域に影響が出ます。だからこそ、空き家をどう動かしていくかは、京都にとって重要な課題です。
しかし、問題はその活用方法と場所です。
京都では、観光地と住宅地の距離がとても近いエリアが多くあります。観光客が歩く通りのすぐ近くに、昔から暮らしている人たちの住宅があります。そこに民泊や簡易宿所が増えると、宿泊施設の問題が、そのまま地域の暮らしの問題につながりやすいのです。
たとえば、ゴミの管理です。
民泊や簡易宿所から出るゴミは、通常の家庭ごみとは扱いが異なります。宿泊者が滞在中に出したゴミであっても、宿泊事業に伴って出るゴミである以上、事業者側が適切に管理・処理する必要があります。
しかし、住宅地の中にある宿泊施設では、この管理が不十分だと問題が起きやすくなります。宿泊者への案内が分かりにくかったり、ゴミの保管場所が適切でなかったり、回収の体制が整っていなかったりすると、地域のゴミ置き場に誤って出される、分別されないまま放置される、カラスや臭いの原因になる、といったトラブルにつながることがあります。
つまり問題は、単に「旅行者がルールを知らない」ということではありません。宿泊施設を運営する事業者が、地域の生活環境に配慮したゴミ管理をきちんと行えるかどうかが問われているのです。
夜間の騒音も問題になります。
旅行者にとっては、楽しい京都旅行の一日でも、近くに住む人にとっては日常生活です。夜遅くにスーツケースを引く音や、建物の前での会話、出入りの音が続けば、住民にとっては大きな負担になります。
さらに、見知らぬ人の出入りに不安を感じる人もいます。
ホテルや旅館であれば、フロントやスタッフがいることが多いですが、住宅地の民泊では、宿泊者と地域住民が直接すれ違う場面もあります。誰が泊まっているのか分かりにくい。困ったときに誰に連絡すればよいのか分からない。そうした不安が地域に生まれることもあります。
もう一つ大きいのが、町内会や地域コミュニティへの影響です。
京都には、町内会や地域のつながりを大切にしてきたエリアが多くあります。しかし、人口減少が進むと、地域活動の担い手は少なくなっていきます。清掃、防災、防犯、ゴミ置き場の管理など、これまで住民同士で支えてきた仕組みを維持することも、以前より難しくなります。
そこに短期滞在の宿泊施設が増えると、地域コミュニティへの負担はさらに大きくなる可能性があります。
これに対し、シングルマザーシェアハウス併設型のHOTEL ECCLESIAは、シェアハウス運営団体である一般社団法人みをつくしが地蔵盆の代わりとなる「ながもと夏まつり」を開催する等の試みは行われています。
しかし、それも一部にとどまっています。
つまり、民泊や簡易宿所の問題は、単に「宿泊施設が増えた」という話ではありません。
観光客は増えている。
一方で、住む人は減っている。
さらに、相続や所有関係で動かしにくい空き家もある。
そして、地域コミュニティの担い手も少なくなっている。
この状況の中で、住宅地に宿泊施設が増えていくと、観光の利益と地域の負担のバランスが崩れやすくなるのです。
京都市も、この点を重要な課題として見ています。京都市は、コロナ禍以降の観光客の急増に伴い、民泊をめぐる騒音やごみ出しなどの近隣トラブルが多発し、地域コミュニティの維持に支障を来しているとして、令和8年度中の条例改正提案を目指し、外部有識者会議を設置しています。
言い換えると、京都市はこの問題を、単なる観光政策や宿泊業の問題としてではなく、
「観光都市」と「生活都市」のバランスをどう取るのか
という都市全体の課題として捉えているのです。
参照
近畿地方整備局 京都国道事務所 計画課 京都エリアにおける オーバーツーリズム対策について
国土交通省 京都観光を取り巻く情勢を踏まえた 今後の方向性について
京都市 市民の皆様の疑問にお答えします(京都市の人口について)
各地で報告されるオーバーツーリズム 物価上昇との関連は?二重価格は許される?
4. 松井市長の発信:京都市は規制強化へ動き出している
では、京都市はこの問題をどう見ているのでしょうか。
ここで注目したいのが、松井孝治京都市長の発信です。
松井市長は、民泊をめぐる規制強化について発信し、京都市として条例改正も視野に入れながら、制度の見直しを進める姿勢を示しています。
本日の東京日程は、主として民泊の規制強化に向けての、旅館業法、住宅宿泊事業法を所管する、厚生労働省、観光庁への要望を行うためのものでした。
ちょうど1週間前には、第1回京都市にふさわしい民泊の在り方検討会議を開催したところでありますが、その議論も踏まえて、再度私自身が、… pic.twitter.com/J4fjZAZdKK— Koji Matsui 松井孝治 (@matsuikoji) April 22, 2026
さらに、松井市長はXの投稿で、東京での予定について、民泊の規制強化に向けて、旅館業法や住宅宿泊事業法を所管する厚生労働省、観光庁へ要望を行うためのものだったと説明しています。
ここで大切なのは、民泊や簡易宿所の問題は、京都市だけで完結する話ではないということです。
なぜでしょうか。
それは、民泊や簡易宿所には、国の法律が関わっているからです。
いわゆる民泊は、住宅宿泊事業法に基づく制度です。
一方、簡易宿所は旅館業法に基づく宿泊施設です。
つまり、京都市が「もっと規制を強めたい」と考えても、市の条例だけで自由に何でも決められるわけではありません。国の法律との関係を整理しながら、京都市としてどこまで独自のルールを作れるのかを考える必要があります。
では、なぜ今、京都市は民泊や簡易宿所の規制を強めようとしているのでしょうか。
背景にあるのは、観光客の増加だけではありません。
住宅地の中にある宿泊施設をめぐって、騒音、ゴミ管理、夜間の出入り、近隣住民とのトラブルなどが問題になっているからです。
京都市は、民泊について、コロナ禍以降の観光客急増に伴い、騒音やごみ出しなどに起因する近隣トラブルが多発し、地域コミュニティの維持に支障を来しているとして、令和8年度中の条例改正提案を目指す外部有識者会議を設置しています。
参照
京都市 令和8年度 第1回京都市にふさわしい民泊の在り方検討会議の開催
ここで、もう一つ整理しておきたい点があります。
京都市の議論で使われる「民泊施設」という言葉は、いわゆる住宅宿泊事業だけを指しているとは限りません。
住宅宿泊事業に加えて、旅館業法に基づく簡易宿所の一部も含めて、住環境への影響という視点から一体的に議論されることがあります。
なぜ、一体的に考える必要があるのでしょうか。
それは、地域住民から見ると、制度の違いが分かりにくいからです。
住宅宿泊事業なのか、簡易宿所なのか。法律上は違いがあります。しかし、近くに住む人から見ると、「住宅地に旅行者が出入りする施設」という点では同じように受け止められることがあります。
さらに、片方だけを規制すると、もう片方へ流れてしまう可能性もあります。住宅宿泊事業だけを厳しくすれば、簡易宿所としての活用が増えるかもしれません。反対に、簡易宿所だけを問題にしても、住宅宿泊事業の届出施設が増えれば、住宅地での影響は残ります。
つまり、京都市が向き合っているのは、単なる「民泊を増やすか、減らすか」という話ではありません。
観光客に多様な宿泊先を提供することは、京都の観光にとって大切です。空き家や中古住宅の活用という意味でも、民泊や簡易宿所には一定の役割があります。
しかし一方で、その施設の近くで暮らす住民にとっては、生活環境に関わる問題でもあります。
だからこそ、京都市が問うているのは、
「観光」と「暮らし」をどう両立させるのか
というテーマなのです。
今後の条例改正では、どの地域で営業を認めるのか、どのような管理体制を求めるのか、近隣住民との関係をどう保つのかが大きな論点になると考えられます。
不動産オーナーにとっても、この流れは無関係ではありません。
これから京都で民泊や簡易宿所を検討する場合、単に「宿泊需要があるから始める」という考え方だけでは不十分です。今後は、規制への対応、地域との関係づくり、そして住環境への配慮まで含めて考える必要があります。
5. 自民党会派の提言:市民生活を最優先にした規制強化
本日は、朝一番から、自民党市会議員団の橋村芳和市会議員、寺田一博市会議員、田中明秀市会議員から、「市民生活を最優先にした民泊の規制強化に向けた緊急提言」をお受けいたしました。… pic.twitter.com/cs6QTwLj5m
— Koji Matsui 松井孝治 (@matsuikoji) February 12, 2026
次に、市会の各会派はどのように動いているのでしょうか。
まず見ておきたいのが、自民党京都市会議員団の提言です。
自民党京都市会議員団は、2026年2月12日に、松井孝治京都市長へ「市民生活を最優先にした民泊の規制強化に向けた緊急提言」を提出しています。
では、この提言は何を求めているのでしょうか。
一言でいえば、「市民生活を守るために、民泊への規制をもっと実効性のあるものにしてほしい」という内容です。
自民党会派は、民泊施設が観光客の多様な宿泊ニーズに応える一方で、騒音や不適切なゴミ捨てなどの近隣トラブルを起こし、住環境の悪化や地域コミュニティの弱体化を招いていると指摘しています。
ここで大事なのは、単に「民泊を減らしたい」という話ではないことです。
問題にしているのは、住宅地の中で、地域住民の暮らしに負担をかけるような運営が増えているのではないか、という点です。
そのため、提言では、監視指導体制の強化、不適正な民泊への厳格な対応、住宅宿泊事業の制限地域の拡大、営業日数のさらなる制限、都市計画手法を含めた立地規制などが論点になっています。
少し分かりやすく言うと、こういうことです。
民泊や簡易宿所を認めるとしても、どこでも自由にできるわけではなく、住宅地の状況や地域の実情に合わせて、より細かくルールを設けるべきではないか。
また、ルールを作るだけではなく、それがきちんと守られているかを確認する体制も強めるべきではないか。
このような問題意識です。
京都は、観光で成り立つ面が大きいまちです。しかし同時に、そこに住む人たちの日常生活があってこそ、京都らしいまちが保たれています。
自民党会派の提言は、その意味で、観光需要よりもまず市民生活と住環境を守ることを前面に出した動きだといえます。
6. 維新・京都・国民会派の条例改正案:市の案を待たずに具体案を提示
維新・京都・国民市議団が独自に検討中の、
“民泊”条例改正案。市議団が開いた、
「市民説明会」に参加して参りました。本条例案は京都市における新規の”民泊”を、
▽管理者不在の形態は完全にNG
▽住居専用地域での営業はNGとするものです。
ーーーー
民泊新法に基づいて緩和された規制を、… pic.twitter.com/wxYvxJzZAa
— 新実彰平/参議院議員・京都・維新 (@niimishohei) February 23, 2026
一方で、別の動きもあります。
それが、維新・京都・国民市会議員団による条例改正案です。
維新・京都・国民市会議員団は、2026年2月13日に「京都市住宅宿泊事業の適正な運営を確保するための措置に関する条例」の一部改正案について、市民意見募集を開始しました。
ここでポイントになるのは、京都市が令和8年度中に条例改正を目指す意向を示している一方で、具体的な改正内容はまだ示されていなかった、という点です。
そこで、維新・京都・国民会派は、市の案を待つだけではなく、会派として独自に条例改正案を作成し、市民や関係者から意見を集める動きに出ました。
では、これはどういう意味を持つのでしょうか。
民泊問題は、住民にとっては日々の生活に関わる身近な問題です。夜の騒音が気になる。知らない人の出入りが不安。ゴミの管理が心配。こうした声は、行政の検討を待っている間にも、地域の中で積み重なっていきます。
そのため、会派側から早めに具体案を示し、市民意見を集めようとした点に、この動きの特徴があります。
また、この案では、施行日以降の新規届出施設への適用を想定し、既存の適法な届出施設には遡及適用しない考え方が示されています。
ここも重要です。
なぜなら、規制を強めるときには、住民の安心だけでなく、すでに法律や条例に従って事業を始めている事業者への影響も考えなければならないからです。
つまり、維新・京都・国民会派の案は、民泊をめぐる不安に早く対応しようとする一方で、新しく始める施設と既存施設をどう扱うかという、制度設計の難しさにも向き合っているといえます。
このように見ると、京都市会では、会派ごとに表現や手法の違いはあるものの、共通している問題意識があります。
それは、民泊や簡易宿所を、これまでと同じ感覚で増やし続けてよいのか、という問いです。
観光客の宿泊先を確保することは大切です。空き家や中古住宅を活用することにも意味があります。
しかし、住宅地の暮らしを守ることも同じくらい大切です。
だからこそ、今の京都では、行政だけでなく、市会の各会派からも、民泊・簡易宿所の規制強化に向けた提言や条例改正案が出される段階に入っているのです。
7. 京都市の検討会議:令和8年度中の条例改正提案へ
では、京都市は今後、どのように制度を見直していくのでしょうか。
ここで注目したいのが、京都市が設置した外部有識者による検討会議です。
京都市は、民泊の規制強化について、多角的・専門的に検討するため、令和8年度第1回「京都市にふさわしい民泊の在り方検討会議」を開催すると発表しました。第1回の会議は、2026年4月15日に開催予定とされています。
では、なぜ検討会議が必要なのでしょうか。
それは、民泊や簡易宿所の問題が、簡単に一つの立場だけで決められるものではないからです。
たとえば、地域住民から見れば、住宅地の静かな暮らしを守ってほしいという思いがあります。夜間の騒音、ゴミの管理、見知らぬ人の出入りなどは、毎日の生活に関わる問題です。
一方で、事業者や不動産オーナーから見れば、観光需要に応える宿泊施設の運営や、空き家・中古住宅の活用も大切な視点です。すでに法律や条例に従って運営している施設もあります。
さらに、京都市としては、観光都市としての魅力を保ちながら、市民の住環境も守らなければなりません。観光を止めるわけにはいかない。しかし、住む人の暮らしを犠牲にするわけにもいかない。ここに難しさがあります。
つまり、この検討会議は、単に「民泊を規制するかどうか」を話し合う場ではありません。
どの地域で営業を認めるのか。
どのような管理体制を求めるのか。
営業日数や立地のルールをどう考えるのか。
既存施設と新規施設をどう扱うのか。
地域住民との関係をどうつくるのか。
こうした具体的な制度設計を考える段階に入っている、ということです。
今後は、住民、事業者、不動産オーナー、行政、そして市会の意見がぶつかる場面も出てくるかもしれません。
しかし、それは避けるべき対立というより、京都というまちの将来を考えるうえで必要な議論だともいえます。
民泊や簡易宿所を完全に否定するのではなく、地域に受け入れられる形にどう整えていくのか。
京都市は今、その制度づくりに向けて動き出しているのです。
8. まとめ:京都の民泊・簡易宿所は「転換期」に入っている
ここまで見てきたように、京都の民泊・簡易宿所をめぐる状況は、大きな転換期に入っています。
まず、観光需要は今後も一定程度続くと考えられます。京都は国内外から多くの観光客が訪れる都市であり、ホテルや旅館だけでなく、民泊や簡易宿所も宿泊の選択肢として求められています。
空き家や中古住宅を活用したい不動産オーナーにとっても、宿泊施設としての活用は一つの選択肢です。
しかし、ここで大切なのは、これからの京都では「宿泊需要があるから始める」という考え方だけでは不十分になっている、ということです。
松井市長の発信、自民党京都市会議員団の提言、維新・京都・国民市会議員団の条例改正案、そして京都市の検討会議の動きを見ると、民泊・簡易宿所をめぐる制度見直しは、かなり現実的な段階に入っているといえます。
つまり、これからは規制強化と住環境保護の流れを無視して、不動産活用を考えることはできません。
では、不動産オーナーは何を考えるべきなのでしょうか。
単に収益が見込めるかどうかだけではありません。
その地域で受け入れられる運営ができるのか。
近隣住民との関係をどう築くのか。
ゴミ管理や夜間対応などの管理体制をどう整えるのか。
将来的な条例改正や制度変更に耐えられる計画なのか。
こうした視点が、これまで以上に重要になります。
民泊・簡易宿所は、京都の観光を支える存在です。空き家や中古住宅の活用という意味でも、可能性のある不動産活用の方法です。
しかし同時に、地域の暮らしとも隣り合わせです。
観光客にとっては数日間の滞在でも、近くに住む人にとっては毎日の生活です。だからこそ、これからの京都では、観光の利益だけでなく、地域の安心や暮らしやすさも含めて考える必要があります。
ShuJu不動産としても、これからの不動産活用では、貸す人、使う人、そして地域で暮らす人のバランスを大切にした提案が求められると考えています。
京都の民泊・簡易宿所は、これからも必要とされる場面があるでしょう。
ただし、そのあり方は変わっていきます。
これから問われるのは、
「観光」と「暮らし」をどう両立させるのか
という視点です。
京都で長く受け入れられる不動産活用を考えるなら、短期的な収益だけではなく、地域との共存まで見据えた判断が欠かせません。
不動産のお問合せはShuJu不動産まで。
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