1. 「広くない」を、言い訳にしない人へ
15㎡、と聞いて、すぐに広さを正確に想像できる人は少ないと思う。
不動産の数字は、いつも少しだけよそよそしい。
けれど、畳に置き換えると急に生活の匂いがしてくる。
15㎡は、およそ8畳。
学生が暮らすワンルームの居室より、少し広いくらいの面積です。
そう聞くと、たぶん最初に浮かぶのは「広い」ではない。
むしろ、「それで店になるのか」という、かなりまっとうな疑問のほうだと思います。
でも、店を持つということは、必ずしも広い場所を借りることではありません。
たくさんの商品を並べることでも、客席をいくつも用意することでも、誰にでもわかりやすい大きな看板を掲げることでもない。
何を置くか。
何を置かないか。
誰に来てほしいか。
誰にまで届かなくてもいいか。
小さい場所では、その判断をごまかせません。
余白が少ないぶん、曖昧なものを置いておく余裕も少ない。
だからこそ、15㎡という広さは、弱点というより、商いの輪郭をはっきりさせるためのサイズなのかもしれません。
今回の物件は、京都市上京区一真町にある貸店舗・事務所。
京阪電鉄鴨東線、そして叡山電鉄の出町柳駅から徒歩7分。専有面積は15.00㎡、賃料は7.15万円。1階部分の小さなハコで、物件資料上は「飲食店可」「トイレあり」とされています。
たとえば、コーヒーを出す。
焼き菓子を少しだけ並べる。
古着や器、本や雑貨を、店主の目で選んだ分だけ置く。
予約制のサロンにする。
アトリエ兼ショップとして、つくる場所と売る場所を近づける。
そういう、小さくても密度のある商いには、このサイズがかえって似合う気がします。
もちろん、なんでもできる物件ではありません。
客席を多く取りたい飲食店や、大きな厨房設備が必要な業態、大量の商品を並べる物販には、正直向きにくい。
そして、この物件は原則原状渡しで、借主側でのリフォームが前提です。完成された店舗をそのまますぐ使いたい人よりも、自分の店を一から組み立てたい人に向いています。
「小さく始めたい」と「軽く始めたい」は、たぶん違う。
保証金は6ヶ月。契約期間は5年の定期借家。保険や保証会社への加入も必要です。
月々の賃料だけを見て、気軽に飛び込む物件ではありません。
それでも、出町柳駅から徒歩7分の場所で、自分の商いを持つ。
大きく構えるのではなく、ちゃんと選ばれる店をつくる。
そのための最初のハコとして、15㎡は案外、ちょうどいい大きさなのかもしれません。
広くない。
でも、それを言い訳にしない人なら、ここはちゃんと店になる。
2. 物件概要
所在地:京都市上京区一真町77-5
最寄駅:京阪電鉄鴨東線 出町柳駅 徒歩7分
最寄りランドマーク:同志社大学、桝形商店街
利用駅:叡山電鉄 出町柳駅 徒歩7分、地下鉄烏丸線 今出川駅 徒歩13分
物件種目:貸店舗・事務所 一部
建物:木造2階建ての1階部分
面積:15.00㎡
敷金:なし
保証金:6ヶ月
契約期間:定期借家5年
設備:トイレあり
用途:飲食店可、要相談
引き渡し:相談
備考:原則現状渡し
形態:仲介
3. 出町柳の少し手前で、店を持つということ
出町柳、と聞くと、京都に少しでも土地勘のある人なら、いくつかの景色が浮かぶと思います。
京阪の駅。叡電の始発。鴨川。学生。古本。コーヒー。パン。自転車。
観光地のようで、観光地だけではない。
暮らしの場所であり、通学路であり、待ち合わせ場所であり、誰かにとっての「いつもの帰り道」でもある。
今回の物件は、そんな出町柳駅から徒歩7分。
京阪電鉄鴨東線と叡山電鉄が使える立地で、地下鉄烏丸線の今出川駅も徒歩13分です。京都市上京区一真町、木造2階建ての1階部分にある、15㎡の貸店舗・事務所です。
駅前の一等地で、人の流れを大きな網で捕まえるような場所ではありません。
でも、人がいない場所でもない。
このあたりが、出町柳周辺のおもしろいところです。
近くには桝形商店街があり、日常の買い物に来る地元の人の動線があります。
さらにこの周辺は、ミニシネマや古本屋、個人店が点在するエリアでもあります。
ただ生活用品を買って帰るだけの場所ではなく、映画を観る、本を探す、コーヒーを飲む、少し寄り道をする。
そういう目的を持った人が、歩く理由を持っている場所です。
商売をするうえで、これは大きいと思います。
大型商業施設のように、圧倒的な集客力があるわけではない。
けれど、街に対して感度のある人が歩いている。
新しい店や、小さな個人店に気づいてくれる人がいる。
ただ安いから、ただ近いからではなく、「あの店、なんか気になる」と思って足を止める人がいる。
だから、この物件に向いているのは、派手に広く構える店というより、小さくても理由のある店です。
たとえば、テイクアウト中心のコーヒースタンド。
焼き菓子や惣菜を少しだけ並べる店。
器、本、雑貨、古着などを、店主の目で選んだ分だけ置く物販店。
予約制のサロンや、小さなアトリエ兼ショップ。
「何でもあります」ではなく、「これを見てほしいです」と言える店。
15㎡という面積は、たくさん置くには向いていません。
でも、何を置くかをちゃんと決められる人には、むしろ強い。
商品数も、客席数も、営業時間も、誰に来てほしいかも、全部を大きく広げる必要はありません。
出町柳駅から徒歩7分。
近すぎず、遠すぎない。
観光地のど真ん中ではなく、生活と文化のあいだにある。
この立地は、強引に目立つ店よりも、ちゃんと覚えてもらう店に向いている気がします。
商売として考えるなら、この場所で大事なのは「通行量に甘えること」ではなく、「わざわざ来る理由をつくること」です。
看板の大きさではなく、何を売るのか。
広さではなく、どんな時間を過ごしてもらうのか。
偶然見つけてもらうだけではなく、思い出してもらえる店になれるか。
出町柳の少し手前で店を持つということは、たぶん、そういう勝負です。
大きな店になる必要はない。
けれど、小さいからこそ、曖昧な店ではいられない。
この場所で始めるなら、広く届けるより、深く届く店がいい。
誰にでも開かれているけれど、ちゃんと誰かのためにある。
そんな小さな商いが、この15㎡には似合うと思います。






