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2023.09.01

「何でも話したがる雑多屋」あきよし堂│謎多き店主にインタビュー☺

大美ちひろ

外観

京都市上京区北町には、とある根源がある。

約100年前に地域の居間として始まった源湯の二階、

此処でミニマルとは真逆の”マキシマム”なお店を営むのはあきよしさん。

時代に逆行するこの店の名前は、あきよし堂。

昨今流行しているミニマリズムのシンプルさや物質主義からの解放感は魅力的であるかもしれないが、

物の少なさが人生の質や幸福を保証するわけでもない。

彼が引き起こす質量の波は、京都にどんな変化をもたらすのだろうか。

インタビュー、構成:大美千尋

 

 お店の開業を考えていらっしゃるお客様にむけて、

 ShuJu不動産では、自身の通うおススメのお店を紹介していきます!!

 今回は、銭湯の二階で色んな物を売る「あきよし堂」の銭湯民族・あきよしさんをインタビューします。


インタビュー風景

私が引っ越したせいで3年も会ってなかった

あきよしさんと寝っ転がってお喋り

 

 

※ノリで喋ったので放言のところもアリ。思考って、流動体やからね。でも会話の濃度は大体こんな感じです。

 

ーまず、あきよし堂とは一体何なんですか?

 

あきよし:僕の元・持物を売ってる場所です。

 

ーへ~、私物やったんですね!どんなコンセプトでやってるんですか?

 

あきよし:うーん、ミニマリズムの逆張りですね。マキシマムにありたい。細々生きて生きていこうという世の流れへのアンチテーゼ。

 

ー店内、すごい物量ですもんね。あきよし堂から、密度の高さが世界中に広がっていくというわけか。

 

あきよし:お客さんと商品を通して話したことが、数日後ニュースになるみたいなことはよくあります。ある意味、あきよし堂が世界を動かしている(笑)あと、「喋ってからものを買える場所」というのも大事にしているコンセプトです。今時ってコミュニケーション無しで何でも買えるじゃないですか。でも、ここにいる以上は僕との会話が発生する。その結果、思わぬものを買っていったりとか、そういう経験をしてもらえると嬉しいです。

 

ーネットショッピングじゃ出会えないもの、ここにあり。例えばどんなものを置いてるんですか?

 

あきよし:押しだしてるのは本なんですけど、他にも服とかレコードとか、こまごました雑貨まで何でも。

店内

ところ狭しと並ぶ、あきよしさんの「元私物たち」

 

ー値付けってどんな基準でやってるんですか?

 

あきよし:ものにもよるけど、ネットで見てみて「あきよし堂、高すぎ~!」ってならないようにしてます。

結構大雑把にやってますね。

げんちゃん

お客さん「このレコードいくらですか?」

あきよしさん「500円です! あー、やっぱり300円。」

お客さん「買いま~す。」

ざっくりやなあ。

 

ー銭湯の二階っていう特殊な場所でのお店ですけど、お客さんってどんな方がいらっしゃるんですか?

 

あきよし:やっぱり大学が近いんで立命館大生とか…あと遠方から観光に来た人もちらほら見えますね。

 

ー源湯、四畳半神話体系にも出てきてましたもんね。聖地巡りの人とかいそう。

 

喫煙あきよしさん

喫煙庭でタバコを喫むあきよしさん

 

ーあきよし堂を始めようと思ったきっかけって何だったんですか?

 

あきよし:きっかけは湊さん(源湯を運営するゆとなみ舎の創業者)ですね。物を持て余してた僕に、ちょくちょくフリマをやらないかと誘って貰っていて。それで出店してたのが始まりです。これがあきよし堂って呼ばれてたんですよね。

 

ーあ、自分で名付けたんじゃないんですか!秋芳洞のオタクなんかなと思ってました。

 

あきよし:よく言われます。でもお陰で洞窟っぽいイメージも帯びてて、ちょっとイイなって思います。ディグり甲斐がありそうというか。

 

ー実はダブルミーニングが成立していたという。面白い!

 

あきよし:で、源湯が始まるときに、二階をテナントとして貸し出すしやっちゃいなよと言われ、ホイホイ乗せられて今に至ります。

 

ー完全に人の縁ですね、素敵だなあ。

 

ジーパンの山

 

ーあきよし堂が始まる前のあきよしさんって、何してたんですか?

 

あきよし:アルバイトを転々としてました。大学時代「稼がなきゃ!」みたいな強迫観念に押されて、バイトに打ち込んでたんですよね。一回生の時はそうでもなかったんだけど、原発事故をきっかけに何かのスイッチが入って、稼がないと!って。一番頑張ってた時は、24時間連続で働いてました。

 

ーええ、今のあきよしさんからは想像もつかない…

そうこうしている中で、どんなタイミングで湊さんと知り合ったんですか?

 

あきよし:2015年ですね、梅湯が始まって2日目とかで遊びに行って、その日からなんか手伝うことになりました。

 

ー超展開や。で、源湯が始まったのが2019年でしたよね。梅湯に関わって4年であきよし堂が開始。

そしてあきよし堂は今年で4周年という事になりますね。どうですか、4年やってみて。

 

あきよし:お店やってると思わぬ出会いがあったりするので、楽しい!

 

ー反対に、大変だった事とかありましたか?

 

あきよし:お店始めて3カ月目で、コロナ禍が始まったんですよね。もうこれお店やっててもなぁ~、みたいな状況に見舞われました。イベントも開けないし。

 

ーあきよしさんの、出鼻をくじくな!許さない。

 

相談室

お悩み相談をしに来るお客さんもいるらしい

 

ー一体、どのようなルーツを経たらあきよしさんのような方が誕生するのでしょうか。

これまでの人生の話とか、聞いてみたいです。

 

あきよし:何から話したら良いか……一番大きい出来事が起きたのは14歳の時で、親父が癌になったんですよね。

そしたら、元々”感染”しやすい性格だった母親が、どんどん新興宗教にハマっていって……。僕が集会みたいなのに行かないと親父が死ぬ!みたいな感じで教義を押し付けてきて、まともな会話が出来なくなったんです。多感な時期にあれは、きつかった。あと同時に祖父も亡くなって。

 

ー苦しい事が、思春期に次々と。心が沈みまくった時期だと思いますが、そういった暗黒期をどうやって抜け出したんですか?

 

あきよし:中々抜け出せなかったです。そのまま高校時代に鬱みたいになっちゃって、新しい物事を覚える作業が出来なくなっちゃったんですよね。勉強も不可能だから一年で退学しました。家がめちゃくちゃなのに勉強なんかしてても虚しいっていう思いもあって。

とにかく早く親元を離れたくて、実家からは通えない龍谷大学に進学しました。

 

ーどうして京都を選んだんですか?

 

あきよし:やっぱり、京都は面白そうってイメージがありましたね。多分くるりの影響かなと思います。

あと龍谷を選んだのは、親による宗教コンプレックス呪縛を解きたいっていうのもありますね。本物の宗教に触れたかった。

あきよし

映画も観られるあきよし堂。

 

ー何かにつけて、選択に影響してくるお母さんの信仰……。こういった苦しみって、あきよし堂誕生のきっかけの遠因になっているんでしょうか。順風満帆なこれまでだったら、普通に労働者になってそう。

 

あきよし:あ~それは鋭いかもしれない。就活もしてたんですけど、面接とか何かにつけて「これ新興宗教に入信するみたいだな」と感じてしまって。就活をやめた理由として、新興宗教への嫌悪感は大きかったです。やっぱり、信仰心押し付けられる苦しみってハンパないんですよね。

でも宗教的なものに魅かれる気持ちと、一線は引いときたいという二つの気持ちがあって。それであきよし堂のおすすめ商品たちを「布教ライン」って称したりもしてます。

 

ーそれは、不思議な行為ですね。もし自分があきよしさんの立場だったらと想像すると、宗教を想起させる一切の物も単語も排除したくなると思います。

 

あきよし:いやでも、こんなもんだと思います。宗教的なものを持ってないと、カルト宗教からは身を守れないと思うので。最近、胡散臭いものが多すぎるから。

 

ーそれは、マジでそうだ。

 

ミッキー

店内最高値はコレ、隠れミッキー付き小物入れ

お値段50万円(!)

 

ーでは最後に、様々な壁を乗り越えてきたあきよしさんから、お店の開業を考える若者に何かアドバイスを下さい!

 

あきよし:そうだなあ。他所じゃ買えないものを置くと良いんじゃないでしょうか。世界中からものをかき集めてきたようなインポートショップに、僕は行きたいと思う。

SNSが普及した世界って、多様性に満ちているのかなと10年前くらいは期待してたのだけど、結果として鎖国しているような現状にあるじゃないですか。皆の欲しがるものを自分も欲しがって満足するような、つまらない状態。適度に趣味が良くて気持ちよければ良いみたいな退廃的なのは好きじゃない。どっかイキってくれないと。

他人が欲しがるものを簡単に欲しがる、そんな購買意欲のための店ではなく、コミュニケーションを通じて自分の好きなものに気付いて手に取る、そういった店が増えるといいなと思います。

 

ー確かに私も、欲求を誘導されるより、一緒に探してくれるお店が好きです。どこへ行っても「効率の良いレパートリーを選んでやったから、この中から選べ」の世界であっては、何も進展しないでしょう。どんどん視認出来る色が減っていく。

 

あきよし:例えば最近、映画「Barbie」を観て、これ絶対夢ないから観たくないなと思って予告編の時点で切っちゃったんですよね。何でかな~と思って色んな批評読んでた時に「資本主義リアリズム」って単語が目に留まったんです。大作映画にかつての社会主義っぽい息苦しさがあるというか。

確かに、近年の映画の傾向として「消費社会のなかで僕も私も生活やってますよ」感を押し出すのが当たり前になりすぎてて、下らないなと思ってたんです。夢の無さの正体はこれかと気付きました。

ポリコレ的な、こうあるべき!みたいなイデオロギーが先行しちゃって、夢云々とかじゃなくて洗脳されてるような気分になる。僕は、鑑賞中はその映画以外のことを全部忘れられるような映画が観たいんです。

 

ー私にとってあきよし堂って、セピア色の夢だなあ。これからも我々に、そしてご自身に、雑多な夢を見せて下さい。

 

お店情報


店名:あきよし堂

営業時間:21時~25時

所在地: 〒602-8368 京都府京都市上京区北町580-6

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大美ちひろ

ShuJu不動産の営業&クリエイティブ担当&一児の母。 一年に一回以上引っ越すという多忙な学生時代を過ごし、多めに一年間の学習期間を経て、新卒としてShuJu不動産に参加。 特技はだいたいの楽器が弾けることです。『私ほど短期間で内見をした人間はいないでしょうね。はい、住みやすさを考えたお家の案内ができますよ』と周囲を圧倒していた。

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