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バザールカフェのインタビュー

2026.07.08

共に生きられる居場所を、どうすれば開き続けられるのか ~28年間の実践~|バザールカフェ 松浦千恵さん・佐々木結さんインタビュー

今井壮太

「好立地」ってなんだろう。

駅が近いこと?

コンビニが近いこと?

静かなこと?

安全なこと?

 

人それぞれ「好」みは異なるが、

ほとんどの人が好立地だと思う地域はある。

特に、駅の近くで、交通量の多い道からちょっと離れていたら、とても人気だ。

 

そして、そんな地域は、最大限に「商業的に」活用される。

都市開発の原則に従えば、活用されるべきだ。

町がにぎわい、社会の利益になるのだから。

 

しかし、商業施設ばかりが建てばいいのだろうか。

健康な人、病気の人、裕福な人、貧しい人、決断した人、不安な人…

万人の集う立地にこそ、万人の利用できる施設が必要ではないだろうか。

 

 

バザールカフェのテーマは「共生」だ。

 

セクシュアリティ、年齢、国籍など、異なった現実に生きている人々がありのままの姿で受け入れられ、それぞれの価値観が尊重され、社会の中で共に生きる存在であることを相互に理解し合う場の創出。(HPより)

 

分断/対立が激しさを増している社会で、僕もあなたも生きている。

究極的には他者と分かり合えないことを、僕もあなたも分かっている。

だから、なるべく、コンフォートゾーンの外に出たくない。

その選択は分断/対立の歯止めにならないが、僕もあなたもリスクは避けたい。

社会のために危険を冒せる人、辛い思いができる人なんて、そうそういない。

 

「共生」は、とても大切で、とても困難だ。

社会が永久的に共生を達成することなんて、ありえないかもしれない。

 

でも、だからこそ

「みんな」で考えて

「試行錯誤」を「継続」するのだ。

 

バザールカフェには28年もの歴史がある。

それは数多の失敗と成功の歴史だ。

本インタビューで、その一端に触れたい。

 

インタビュー&構成:今井そうた

 

今回のインタビューは
上京区今出川駅のそばにある
「バザールカフェ(BazaarCafe)」です。
運営スタッフのお2人
松浦千恵(ちえ)さんと
佐々木結(ひとし)さんに
インタビューをしました!

 

【この記事でわかること】
バザールカフェはどんな場所?
なぜ二人はバザールカフェに?
居場所を開き続けるには?

 

まずは・・・

――いただきま~す!

バザールカフェ日替わりランチ
タイのパッボンカリー
(鶏肉とシーフードのカレー炒め)

――本日はよろしくお願いします!(モグモグ)

千恵さん&結さん:よろしくお願いします~。

千恵さん:今井君て、ここ何回くらい来てるんやっけ?

――ランチで3,4回です。いろいろな国の料理をいただけるので楽しいです。

結さん:外国人のシェフさんが、郷土料理のレシピを考えてくれています。

――バザールカフェの魅力ですよね。シェフの方々はどんな経緯で関わってくださったんですか?

千恵さん:知り合いの紹介がほとんどやね。就労に困っている方とか、パートナーが仕事で海外からいらっしゃっていて、まだ地域に繋がりをもっていない方とか。

 

(Instagramで毎月の日替わりメニューがチェックできます🔍)

――あと、ShuJu不動産&Grape Vineのおでん会もここで開催させていただきました!

結さん:そうだそうだ。あのイベント、盛り上がってましたねえ。

バザールカフェ

バザールカフェはどんな場所?

――さて。まずはバザールカフェ設立の経緯とコンセプトを知りたいです。

千恵さん:ここは元々、同志社大学・同志社女子大学に勤める宣教師の居住宅で、主にアメリカ女性宣教師の共同住宅やったんやて。

結さん:で、1998年に、エイズ患者への誤解を解いたり、彼らに様々な支援をすることを目的に、榎本てる子さんや小山田徹さんが主体になって、バザールカフェができました。

――エイズ患者への支援が、結成の動機のひとつだったんですね

千恵さん:榎本てる子さんはHIVポジティブの方のカウンセリングもされていたのよ。

 

結さん:で、もっと支援の対象を広げようということになって、今では、依存症、精神疾患、性的マイノリティなど、いろいろな悩みを抱えた人の居場所になることを目的に運営しています。ただ、かしこまった施設だと間口が狭まるので、カフェの営業を主体としています。わかりやすく言えば、誰でも利用できるカフェです。

――実際にいらっしゃる方はどうですか?

結さん:地域の方が喫茶をしたり、学生さんがランチを食べたり、支援団体の方々が集って話し合ったり、いろいろな用途で使われています。スタッフもバラエティに富んでいて、良い感じです。

バザールカフェ

――どんな方が運営に携わっているんですか?

結さん:いろいろなバックグラウンドの方がいます。活動委員会と事務局スタッフあわせて、10人くらいかな。あとは、シェフとボランティアか実習で来ている人、お客さんなのかスタッフなのかよくわからない人も。

――皆さんクリスチャンなんですか?

結さん:いいえ。キリスト教を信仰している人は多いですが、全員ではありません。

千恵さん:私もちゃうし。

――あ、そうなんですね。

千恵さん:クリスチャンの皆さんには、ほんまに助けてもらってるんやけどね。

結さん:でも、利用者が宗教を意識せずに過ごせることは大事だと思うので、キリスト教の施設っぽくはならないようにしています。

――たしかに、キリスト教らしい意匠は目立たないですね。だからなのか、いつ訪れても、老若男女が談笑したり、黙々と作業したり、思い思いの時間を過ごしていて、今井は居心地がいいです。

バザールカフェ

結さんのこと

――お二人はどのような経緯でスタッフになったんですか?

結さん:僕は、大学2回生の春休みに先輩に誘われて、まずはキッチンでボランティアをしていました。毎週金曜日に入っていたら、だんだんスタッフの皆さんと仲良くなって、運営委員会に所属することに。

――自然とコミットする流れになったんですね。

結さん:そうですね。バザールカフェの運営は、マニュアルやルールがあまりないんです。だから、自分は若い方でしたが、主体的な意識を持って関わろうという気になったんです。

――具体的にはどんなことをしてきたんですか?

結さん:イベントの企画とか、今後の方針の会議とか、いろいろなことに携わりました。社会的弱者とされる人がバザールカフェを訪れたら、多方面で支援しようと考えて動いたり。時には、常連さんが体調を崩した時のお見舞いとか…笑

――あたたかいですね。

結さん:正直めんどくさいなと思うときもありますし、行政がやれよ!と思うときもあります。でも、出会ってしまったからには、できるだけ力になりたいな、と。

――印象に残っている出来事はありますか?

結さん:やっぱり、コロナ禍の対応ですね。自粛要請が出て、営業できない期間がありました。でも、常連さんやボランティアの方の中には、このバザールカフェに来ることが生存確認になったり、心のお薬になる方もいて。あの人はここがないと命が危ない、というのが大げさな話ではなかったんです。

――そうでしたか…。

千恵さん:だから、通常営業はしていないけれど、とりあえず場は開く、という形でやったりしたよね。

結さん:あと、新入生が孤立してはいけないと考えて、バザールカフェの屋外テラスを活用して、彼らに向けた食事会を開催したり。

――あの頃は対面授業・バイト・サークル禁止で、みんな部屋に籠りがちでした…。

結さん:誰だって社会への不満が多かれ少なかれあると思うんですが、1人じゃ悩むばかりですよね。僕は、バザールカフェという「場」があって、そこに「仲間」がいるから、社会課題に対してやりたいことを実践できるんです。

――なるほど。でも、不平不満はあれど、何かを実践しようと思う人ってなかなかいないですよね。ヒトシさんには強い意志があります。

千恵さん:結くんは、スタッフの会議でも、周りに流されずに物を言える人やな。

結さん:自分があれ?と思ったことは、たいてい、他のスタッフもちょっと思っていますから。で、その問題を放置したら、最後の最後に大爆発するかもしれない。早めに言語化と表面化ができれば、みんなで解決できるじゃないですか。

――大事な組織論だ!φ(..)メモメモ

 

バザールカフェ

千恵さんのこと

――千恵さんは、クリニックで勤務しながらバザールカフェにも関わっているんですね。

千恵さん:バザールカフェには20年くらい関わっています。クリニックは依存症専門の精神科なんやけど、カフェの方が先です。

――クリニックが先だと思ってました。千恵さんはこの2つをどのように分けているのでしょうか。

千恵さん:対象となる人はけっこう重なるの。でも、強固な枠組みのある医療機関でできることと、バザールカフェでできることはちゃう。

――なんとなく違うんだろうなあ、とは思いますが、具体的には?

千恵さん:クリニックは医療機関なので、治療をする場で、主治医の意見があって初めて福祉サービスがうけられる。私はソーシャルワーカーとして患者さんに関わるけれど、地域で生活をする生活者としての視点を持ちながら、患者さんと主治医の間をうまく繋ぐために、ヒアリングと報告をする。

――重要なポジションです。

千恵さん:でも、ソーシャルワーカーの仕事って、これだけで完結できないやん?

――もっとできることがあると。

千恵さん:うん。たとえば、クリニックの営業時間が終わったら追い出さなあかんけど、患者さんの悩みや症状は全く改善していないままやったら、今井君はどうする?

――うーん…。

千恵さん:誰にでもやれるってわけではないけれど、私は、考えるよりも先に体が動いちゃう。バザールカフェを紹介して、話の続きをしたり、買い物に付き合ったりとか、やれるだけのことをする。

――すごいです。同業の方はそんなことしているんですか?

千恵さん:せえへんせえへん笑。プロはそんなことしたらあかん、みたいな暗黙のルールはあるし、私も一定の線を引かなきゃ、とは思ってる。でもね、目の前に困っている人がいたら、そんな紋切り型な対応はできひん。で、バザールカフェがあるから、そこに招待すれば「地域の支援者」として、自分の責任で行動できるし、相手も安心できる。

――なるほど。千恵さんがいつも忙しそうな理由がわかりました笑

千恵さん:ほんまにそう笑。バザールカフェにいたら時間も体力もとられるし、あかんと思うこともある。でも、矛盾してる風に聞こえると思うんやけど、バザールカフェにいるから時間がなくなるのに、バザールカフェにいるから、かけがえのない時間が生まれるの。

――どんな時にそう感じるんですか?

千恵さん:今もそうやで。このインタビューのおかげで、今までのことを確かめて、これからのことを考えることができているやん?

――うれしいです。

千恵さん:うちの子供たちも、この場に支えてもらってきたし。お料理をいただいたり、子守をしてもらったり。

――そうだったんですね。

千恵さん:ちなみに、結はうちの子に「おしり探偵」って呼ばれてる笑

結さん:はい、そうです笑

バザールカフェ

「居場所」とは?

――お二人の話を伺って、バザールカフェという場の魅力がスタッフと利用者のお互いに良い効果をもたらしているんだな、と思いました。

千恵さん:そうやね。私をきっかけにしてバザールカフェへ来た人が、私に依存する段階から、スタッフや常連さんと仲良くなって、私がいなくても来るようになる。で、余裕の生まれた私は、別の人の力になれる。

――ふむふむ。

千恵さん:いちばん最初は個別具体的に伴走してから、ゆっくりと手を離す、みたいな。

――人から場へ、重心が移るイメージですね。

結さん:でも、僕が思うに、何にだって相性はあります。

――と言いますと?

結さん:バザールカフェでは、お互いの尊厳が心の安全が守られるよう、スタッフ研修やワークショップをしたり、日常的にもいろいろな声かけや話し合いをして、相互に理解しあえるような場作りをしています。それでも、居心地が良くないって思う利用者は時々でてきてしまう。

――その時は、どうするんですか?

結さん:すべての人の居場所になることは理想だし、その理想は手放したくないけれど、やっぱり現実的ではないと思っています。幸い、バザールカフェには広い庭や「カレンハウス」があるので、キッチンの雰囲気が合わないときは、庭で過ごしたり、タバコを吸いながら文句を聞いたり、あるいは数日間バザールカフェに顔を出さないでいるうちに、どうでもよいと思えることもある。

千恵さん:楽しいだけ、心地良いだけの場所なんて存在せえへんからね。どこにいたって、たまには嫌なことがある。それを他の場所で愚痴ったり、相談したりして、結局はうまくいくんちゃうかな。

――そうですね。現実に即していて説得力があります。

千恵さん:ただ、あの人のことが嫌いやけれど、お互いにここに居てもいい、って考えは大事やね。誰かを排除しようと思ったら、いつか自分も排除されるかもしれない。そこを忘れたらあかんと思う。

――ここは僕の居場所だ!という気持ちが強くなりすぎると、排除の思想が生まれがちですよね。

結さん:そうなんです。だから、僕はバザールカフェを大きくするよりも、バザールカフェのようなものが増えることが必要だと思うんです。

千恵さん:せやね。

結さん:バザールカフェだって、日によって、時間帯によって、場の雰囲気は変わります。もし全く同じコンセプトを持つ場が生まれたとしても、雰囲気は異なるはずです。バザールカフェのようなものが増えて、バラエティがあればあるほど、多くの人にとって住み心地の良い街になるんじゃないかな、と。

――「自立とは複数の依存先を作ることだ」という熊谷晋一郎さんの言葉を思い出しました。

千恵さん:うん。でも、はじめから複数の依存先をつくることなんてできひん。どうしても属人的になる。そこは各スタッフが責任を持って行動せなあかんね。

バザールカフェ

バザールカフェのこれから

――バザールカフェは、今出川駅の近くだし、敷地が広いし、ヴォーリズ建築で、言ってしまえば「とても恵まれた施設」ですよね。でも、カフェ利用の宣伝を目的としたメディア掲載は、あまりしていません。市場に身を委ねずに、でも、ここが必要な人には情報が届くように、という絶妙な塩梅で臨んでいる印象があります。

結さん:運営スタッフの中にも、いろいろな考えがあります。もっとメディアに出て外に開こう、とか、現状維持しよう、とか。その時期のスタッフの人数や使用状況に合わせて、試行錯誤をしてきました。

――そうなんですね。

結さん:その歴史があるから、ぐいぐい進むまえに、適宜振り返りましょうよ、という意識があります。

――では、もしも、バザールカフェのことを何度か利用したことのある人が、イベントを開きたいなあ、と考えているとしたら、どんなアドバイスがありますか?

結さん:スタッフと交流してほしいですね。手っ取り早いのは、お手伝い。

――お手伝いですか。

結さん:お皿洗いとか、エプロンを畳むとか、飲食店で働いたことのない方でもできることがたくさんあります。まずは、スタッフや内側がどんな感じなのか、体験してほしいです。

千恵さん:はじめから真面目に会議してもええんやけどね。一緒に何かしながら話す方が、バザールカフェのことを知ってもらえるし、あと、長い時間を一緒にいられるから、その人がしたいことと、バザールカフェでできることの、うまくその折り合いをつけるために、いろいろと検討しやすいんよ。

――提案をYESかNOの二択で判断しないために、よく話し合おう、ってことですね。

千恵さん:せっかく考えていることがあるんやったら、なるべく協力したいと思うやん。スタッフのうちらは、これまでのバザールカフェを踏まえたうえで、でも保守的にならずに考えていかんと。

結さん:運営スタッフと一般の利用者の中間の、積極的にイベントに参加してくれたり、企画してくれる層を、もっと分厚くしていきたいですね。

――はい!その1人になります!✋

バザールカフェ

おまけ

バザールカフェ

こちらの書籍『バザールカフェ―ばらばらだけど共に生きる場をつくる』には、「共生」をテーマに実践をし続けたバザールカフェの歴史が詳述されています。本インタビューと併せてお読みください。

 

情報

名前:バザールカフェ

営業時間:火~土曜日 11:30~17:00

L.O 🍚15:30🥤16:30

所在地: 〒602-0032 京都府京都市上京区岡松町258

🍽️HP

🍽️Instagram

お問合せはShuJu不動産まで。

LINEの公式アカウントは【こちら】をクリック!

 

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今井壮太

ShuJu不動産の元気ドリンコ。京大在学時はロシア文学を専攻しつつ、落語と音楽に打ち込んだ。「もっとタフになりてえ」と思って休学を選択し、全国各地の農家と漁師のもとを訪れた後、和歌山の山地で半自給自足生活を1年間実践する。大峯奥駈道の単独縦走中に「ヒトはひとりじゃ生きられない」というシンプルな気づきを得て、ShuJu不動産に参加。京都には吉田山よりも高く鴨川よりも深い愛情を抱いている。「好奇心のまま生きてたら、同級生が大学院すら卒業してたんすよね。でも、こっからっす。大好きな街で一所懸命にやります」と振り切れた笑顔を浮かべている。 【強み】居住支援・ええ感じなお店の知識量・ビートルズと江戸落語への愛

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